2002年2月17日(日)「しんぶん赤旗」
路線バスなどを運行する鞆(とも)鉄道(広島県福山市)の労働組合・私鉄中国地方労組鞆鉄道支部の組合員三人が、希望退職に応じなかった五十六歳以上の基本給を30%減額する労働協約は無効として、会社側に差額の支払いを求めた訴訟の判決が十五日、広島地裁福山支部でありました。黒田豊裁判官は、訴えた三人に、もとの基本給と減額後の基本給の差額分、約九百万円を支払うよう命じました。
判決は、会社と労組が結んだ労働協約(一九九七年)であっても「その内容が、特定の者に著しい不利益を与え、これを甘受させることが、内容的にも、手続き的にも著しく不合理である場合には、その規範的効力を否定すべきと解される」としました。
判決はまた、月八万八千円から十一万七千円もの減額によって原告らが受ける「経済的打撃は尋常でない」「不利益を甘受すべきだとはとてもいい難い」としています。
さらに労働協約の締結に際し「交渉及び妥結の過程において、組合大会が開かれたり、五十六歳以上の者の意見を個別に聴取する」ことはなかったと推認できるとして、「本件協約の規範的効力を原告らに及ぼす根拠はない」と断じています。木山潔弁護士は「年齢を理由とする不当な扱いに警鐘を鳴らした画期的な判決」といいます。
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