2002年2月14日(木)「しんぶん赤旗」
「鈴木さん、あなたは私たちの友達です」。国後(くなしり)島の「友好の家」に、赤と青のインクでくっきり書かれた横断幕の写真。議場は「オー」と大きくどよめきました。日本共産党の佐々木憲昭議員が冷静に「現地ではムネオ・ハウスと呼ばれている」とたたみかけると、自民党議員さえ苦笑を抑えきれません。十三日の衆院予算委員会では、自民・鈴木宗男議員が海外援助を私物化する実態が国民の前に明らかになりました。
ロシアの「北方四島への人道援助」事業が始まったのは一九九二年。二〇〇〇度までに約八十七億八千万円が費やされました。
通常の国家間援助は、相手国の正式な要請に基づきJICA(国際協力事業団)などが現地調査します。その報告書を検討し閣議決定したうえで、相手国との交換公文(契約書)に署名。その後、入札で事業に携わる業者を選定します。
ところが「北方四島支援」に関してはこれらの手順をふまず、四島住民代表からの支援要請を外務省ロシア支援室などが検討して「贈与証明」をつくり実行するもの。特定の議員が関与する余地が残ります。
佐々木氏は、「支援」目的でつくられた「友好丸」と「希望丸」という船の問題を取り上げました。受注した「根室造船」の社長は、鈴木宗男議員の政治活動を支える「21世紀政策研究会」根室支部の代表で、根室市の後援会幹部です。
重大なのは、この企業が鈴木議員へ献金していることです。佐々木氏が四年間で二百四十万円にのぼると紹介すると、資料に目を落としながら「ほう」という感嘆の声や「自民党いいかげんにしろよ」とヤジが起きます。「船の発注と密接な関係といわざるを得ない。こんなことが許されていいのか」と迫る佐々木氏に、小泉純一郎首相は「いま突然聞かれても事実関係がよく分かっていない」といいながらも、「よく調べていると感心した」。
鈴木議員と「支援」事業とのかかわりはこれだけではありません。国後(くなしり)島の宿泊施設「友好の家」―通称「ムネオ・ハウス」をはじめ、色丹(しこたん)島の診療所は地元で「鈴木宗男診療所」、四輪駆動車は「ムネオ号」といわれている―。佐々木氏が告発するたびに爆笑、苦笑が起きます。
佐々木氏は「国民の税金による援助なのに、どうして個人の名前が出てくるのか」と批判。事業を受注した企業から鈴木議員に献金が還流する構図を「おかしいと思わないか」と追及すると、首相は「よく調査すべきだと思う」と答弁しました。
ケニアのソンドゥ・ミリウ水力発電事業をめぐっても、鈴木議員は深く関与しています。
外務省の公電によれば、鈴木議員は小渕内閣の官房副長官として九九年八月にケニアを訪問した際、「帰国次第、関係省庁に連絡・指示を行い、本件プロジェクトへの円借款供与への迅速な検討を進めることを約束する」と発言。このプロジェクトの二期工事はまだ円借款の決定がされておらず、工事の入札・発注が行われるという異常な事態になっています。
同発電事業を受注した鴻池組をはじめアフリカのODA事業を受注した十一社から、六年間で約七百万円の献金が鈴木議員に渡っています。佐々木氏は、鈴木議員が十六ものアフリカ関連の議員連盟会長を務めていることも指摘。「利権構造の実態にメスを入れることが大事ではないか」との問いに首相は、「その通り。指摘の点を外務省もよく調査し、疑惑の持たれないようなODAを考えるべきだ」と答えました。
佐々木氏は改めて、疑惑を解明するために鈴木議員の証人喚問を要求しました。
モーリタニア・イスラム共和国議連
ナイジェリア連邦共和国議連
ケニア共和国議連
モザンビーク共和国議連
ジンバブエ共和国議連
ザンビア共和国議連
ボツワナ共和国議連
コンゴ民主共和国議連
ルワンダ共和国議連
ブルンディ共和国議連
ガボン共和国議連
カメルーン共和国議連
ガーナ共和国議連
ギニア共和国議連
象牙海岸共和国議連
ブルキナファソ議連
(外務省資料から作成)
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