日本共産党

2002年2月13日(水)「しんぶん赤旗」

整理解雇に違法判決

仏ミシュラン社(タイヤ・メーカー)

「収益向上」理由にならない

労働裁判所


 【パリ11日山田俊英】フランス最大のタイヤ・メーカー、ミシュラン社が一九九九年から行ったリストラのうち、地方の自転車タイヤ工場の閉鎖について、仏北部ソワソン市の労働裁判所は八日、違法判決を言い渡し、訴えを起こした百六十二人の元社員に総額約一千万ユーロ(十二億円)の損害賠償を支払うよう会社側に命じました。「株価を上げるための解雇に違法判決」(十一日付ユマニテ紙)と報道されるなど、労働者のたたかいを励ましています。

 ミシュラン社は当時グループ全体で収益を増やしながら、欧州全体で約七千五百人の整理解雇を発表。閉鎖されたソワソン市近郊ウォルベ工場の労働者が訴えを起こしていました。

 判決は「整理解雇は企業の競争力を救済しなければならない場合にのみ適法である。競争力や収益の拡大を図るものは正当化されない」とした上で、「当時フランスの自転車市場は停滞の度を増していたが、ウォルベ工場は生産性向上の努力によって収益性を維持していた。同工場の収支不均衡は、もっぱらミシュラン・グループの財務的必要性によるものだった」と経営分析。工場閉鎖は「現実的、深刻な理由に基づいているとは認められない」として、解雇規制法に反して行われたと判定しました。

 賠償金額は一人当たり三万五千―十万六千ユーロ(約四百万―千二百万円)です。労働者側は判決を受けて改めて再雇用を会社に要求しました。

 ミシュラン本社工場のミシェル・シュバリエ労働総同盟(CGT)書記長は「フランスの労働者を犠牲にしてロシア、東欧に工場移転している中で重要な判決だ。解雇規制法の強化に反対している政治家に圧力となるだろう」(ユマニテ紙とのインタビュー)と語りました。

 昨年、国民議会で解雇規制強化法が可決された後、憲法院が「企業の自由の侵害」として違憲判決を言い渡しましたが、今回のミシュラン事件裁判は強化法以前の現行法に基づいています。


 注 労働裁判所

 個別的労働契約に関する労使紛争を調停し、不調の場合、裁判を行います。各県に最低一つあり、司法官職でない労使同数の代表が判事になって構成。可否同数の場合は小審裁判所(郡や区を単位とする裁判所)の裁判官が関与します。判決に不服がある場合、係争された金額が毎年政令で定める一定額以上であれば、控訴院(高裁)に控訴できます。

 


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