日本共産党

2002年2月7日(木)「しんぶん赤旗」

負けてたまるか リストラの職場で

北九州安川電機

パート17年、突然解雇 目の前真っ白……

共産党員への相談きっかけ

“働きたい”組合つくる


 IT(情報技術)不況を理由に、長年働いてきたパート労働者の雇い止め・解雇を強行した北九州市の安川電機(中山眞社長)に対し、「パートだって人間。私たちは働き続けたい」と職場や地域の労働者に支えられて、女性たちが立ちあがっています。(大岡真・福岡県記者、名越正治記者)


 同社は産業用ロボット製造の地場大手です。本社に併設された八幡工場で昨年六月二十五日に突然、パート労働者が上司から呼び出されました。

 「なんでよばれたのかしら? 仕事のことかしら」と思った甲斐敏子さん(56)もその一人です。

「年齢だから」

 上司は「うわさは知っていると思うが」と切り出し、「来月は契約しません」と通告しました。

 目の前が真っ白になりました。ろうばいし、「どうしてですか。私たち母子家庭にどうしろというのですか」と聞くのが精いっぱいでした。上司は「年齢ですから…」といい放ちました。

 甲斐さんは、この工場に十七年十カ月間勤めてきたパート労働者の最年長者です。産業用ロボットを動かす特殊モーターのエンコーダ(検出器)取りつけと調整作業にかけてはノウハウをたくさん持つベテランでした。

 「五年前から、午後四時に退社したあと、すぐに着替えて夜は焼き鳥屋で働きながら、子どもを育ててきました。安川では遅刻も長期欠勤もせず、がんばってきたつもりでしたから、悔しさでいっぱいです」といいます。

 林緑さん(47)も母子家庭。入社以来、三カ月ごとに更新する仕事の契約を十四年間継続してきました。「世帯主として生活している私にとって、収入が絶たれるとたちまち死活問題です。働きつづけてきた自信とプライドを粉々に砕かれた思いです」と憤ります。

 甲斐さんや林さんのような何年も契約更新を続けて働いているときは、「期間の定めのない労働契約」とされ、「雇い止め」は違法行為です。

不況でも利益

 安川電機は二〇〇三年三月までに、グループ全体の一割強、千人を削減するリストラ計画を打ち出していました。

 削減の前段として、甲斐さんや林さんら三十一人のパート労働者を雇い止め・解雇する一方で、中国・上海にモーター工場の有限会社をつくり、国内の製造部門を整理・縮小することを計画。不況でも利益をだそうというのがねらいです。

 さらに昨年十一月、計画を前倒しすると言明し、ことし三月までに正規社員の早期退職募集などで七百五十人から八百人を削減するとマスコミが報道しました。二月六日には全社員に一割の賃金カットや臨時休業を増やす「緊急経営対策」を発表しました。

 安川電機では、日本共産党員やその支持者を理由にした思想差別や女性差別をやめさせようと、二十二人の労働者が一昨年九月までの二十年六カ月間、争議をたたかってきた経緯があります。甲斐さんらは「サービス残業をなくそう」「リストラ『合理化』反対、雇用を守ろう」と雨の日も風が強い日も門前で宣伝を続ける党員たちの姿を好ましく見てきました。

 雇い止めを通告された直後、思い余って職場の党員に打ち明けました。相談をきっかけに、七月二日、パートの人たちの労働組合(JMIU安川電機パート労働者支部)を結成しました。委員長は、同じ職場で働いていた元争議団員の久保忠彦さん(63)が引き受けてくれました。

 会社は一カ月後の七月二十五日、解雇を強行しました。パート全員が五日前に三カ月契約を更新したばかりでした。

 二人は、九月に身分保全の仮処分を福岡地裁に申し立てました。「パートだって意地がある。会社に思い知らせたかった」と甲斐さん。

初めての経験

 争議の支援を訴えるのは初めての経験です。地方放送局が二人の特集を報道し、共感が広がるなか、いま頻繁に宣伝カーをだし、街頭宣伝や「解雇撤回」「公正判決」の署名を集めています。

 甲斐さんは「会社側は解雇の選定基準を『出勤率』では説明できないので、悪口証言まで書面に書いています。人格攻撃は許せません」。

 林さんは「『ここまでたたかったのだから、もうやめてもいいのでは』と自分にいい聞かせたこともあった」といいますが、「多くの仲間の励ましと、アルバイトをしながら元気に高校に通う娘のためにも負けられません」と話しました。

 激励先=JMIU(全日本金属情報機器労働組合)安川電機パート労働者支部 北九州市小倉北区黄金一の四の九山本ビル、北九州地区労連内電話093(921)0747。ファクス093(921)0284

 


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