2002年1月30日(水)「しんぶん赤旗」
NTTリストラで五十歳以上の労働者に広域配転を条件にNTTに残るのか、基本賃金70%で子会社に移るのかの選択を迫っています。NTT西日本の選択期限である三十一日(東日本は十八日)を前に大阪のある地区のNTT労働者が所属組合の違いをこえて「NTTリストラ問題をいっしょに考える会」が発足しました。リストラに負けたくない、という気持ちがあふれています。
「いっしょに考えよう」とよびかけたUさん(53)=電気設備の保守=は、「NTTは、グループ全体では経営危機などではありません。もうけを増やすために労働者の生活をつぶして構わないという会社のやり方が許せない」とNTTに残る選択を決意しました。
Uさんは住宅ローンをかかえ、中学生の子どもがいます。会社側は「NTTに残れば西日本全域を対象にした配転がある」といっています。夫の覚悟をきいた妻は、「あなたの判断にまかせます」とこたえました。
Eさん(54)も、課長との面談で、NTTに残ることを伝えました。Eさんの脳裏に、娘の姿がよぎりました。自宅の机の上に出したままにしていた新聞の切り抜きをみて、「NTTがリストラするって書いてあるけど、お父さん大変やな」ときいてきたからです。Eさんは、「クビになるわけじゃないから、大丈夫だよ」と返事をしました。
「全国配転があるかもしれん。企画戦略部門の仕事や、出向があるかもしれん」という課長にEさんはいいました。「そのときは考えます。ほかの企業でおこなわれた遠隔地への不当な配転も、労働者がたたかって、ほとんどが撤回をかちとっています」
労働者の大半が、悩み、憤りを感じながら、外注会社への「転籍」を選択しています。
職場によっては、「転籍」かNTTに残るかの選択期日を早めているところもあります。五十代のある労働者は、「最後の抵抗だ」といって、提出期限日ぎりぎりまで待って、「転籍」を選択する用紙を提出しました。
Tさん(55)も「転籍」を選択しました。「職場の仲間の多くが子会社にいく。私はその仲間とともに労働条件のさらなる切り下げを許さず、切実な要求を掲げて運動していきたい」との決意からでした。
「NTTリストラ問題をいっしょに考える会」のよびかけ人の一人、Sさん(50)はいいます。「悩みや考えを出しあい、励ましあう場が持てたことはよかった。これからも、継続していきます。合言葉は、『残っても、移っても、力を合わせてたたかおう』です」
NTTに残る労働者からは「広域配転は本人同意で」「仕事を保障せよ」の声が、外注子会社に移る労働者からは「勤務場所や業務内容は、労働者の希望を生かしてほしい」「子会社の将来にNTTは責任をもつべきだ」の声があがっています。「会」は、こうした切実な要求を実現していくために運動していこう、と話し合っています。(原田浩一朗記者)
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