2002年1月29日(火)「しんぶん赤旗」
判例法は、解雇について厳しく制限しています。最高裁は、使用者の解雇権の行使について社会通念上合理的でなければならない、と濫用(らんよう)を戒めています。大量の人減らし・「整理解雇」についても東京高裁はじめ多くの裁判で企業が倒産する経営危機が迫っているなど四要件を示しています。
これは戦後、経営者が「解雇は自由だ」として大量の人減らし「合理化」を強行してきたのにたいし、労働者が裁判に訴えてたたかい、かちとってきた成果です。この判例法によって企業は容易に労働者を解雇できません。現在大企業がすすめているリストラで「希望退職」や転籍の強要という手法に訴えているのもこのためです。
解雇権の濫用は無効
最高裁の考え方「使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になる」(一九七五年四月二十五日、最高裁第二小法廷判決・日本食塩製造事件)
大量の人減らし・整理解雇には四要件が必要
企業経営上の必要性による解雇をする場合
(1)「整理解雇の必要性」 人員整理をしなければ、どうしても企業が倒産するなど経営危機が差し迫っているのか
(2)「解雇回避努力」 新規採用をやめるとか希望退職を募るなど会社が経営上の努力をしたか
(3)「解雇手続きの適正」 労働組合や労働者に十分説明をして労働者の納得を得る努力をしたか
(4)「人選の適正」 誰を解雇するかの基準がはっきりしていて、その基準が適正で、基準の適用が正しくされているか
「四つの要件を満たしていない場合、その整理解雇は無効」(一九七九年十月二十九日、東京高裁判決・東洋酸素事件)
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