2002年1月29日(火)「しんぶん赤旗」
日本共産党の志位和夫委員長は二十八日、国会内で記者会見し、昨年十二月に奄美大島沖の東シナ海で発見され、海上保安庁の巡視船の追跡・射撃のなかで沈没した「不審船」の問題について、日本共産党の見解と提案を発表しました。筆坂秀世政策委員長が同席しました。
記者会見する志位委員長(右)、筆坂政策委員長(左)=28日、国会内 |
志位氏は「日本国民から『不審船』への不安の声がおこっている。同時に、今回の海上保安庁の対応に内外から批判の声があるのも事実だ」と指摘、「国際法のルールを基準に検証し、対応する必要がある。海洋法の専門家や海上保安庁等の当局者にも調査し、見解をまとめた」とのべました。
志位氏は、今回の事件に対する海上保安庁の対応をみるうえで、日本の主権のおよぶ領海と、一部の経済的主権しか認められない排他的経済水域(EEZ)とを「はっきり区別することが必要だ」と強調。EEZでは密漁、無許可の資源探査、海洋汚染行為しか取り締まることができないと指摘しました。
今回の事件での海上保安庁の対処について、「最初から漁船ではないという前提で対処しながら、漁業法違反で対処したとしているのは明らかに矛盾だ」と指摘。日本領海ではなく、EEZで「不審船」を発見し、中国のEEZで船体射撃を行った今回の対応は「国際法上の根拠を欠いたあやまったものだ」とのべました。
そのうえで、いわゆる「不審船」への対応について、(1)領海内では、基本的には対応できる法体制があり、これを厳格に運用する(2)EEZでは、日本一国の対応は無理であり、中国、韓国、北朝鮮、ロシアなど周辺国と共同対処できるルールづくりを行う(3)海上における警察活動は、第一義的に海上保安庁が行い、今回の事件を自衛隊の任務拡大、有事法制づくりに利用することに反対する――と強調しました。
領海 国の主権が及ぶ海域。国連海洋法条約で沿岸の基線から十二カイリ(約二十二キロメートル)を超えない範囲と定められています。
排他的経済水域(EEZ) 漁業や資源に対する権利、海洋汚染の規制などの権限が認められた基線から二百カイリ(約三百七十一キロメートル)の水域。
(1)領海と排他的経済水域は、はっきり区別することが必要
(2)海上保安庁の対応は、国際法上の根拠を欠いたあやまったもの
(1)領海内では、基本的には現行法規による対応で可能
(2)排他的経済水域においては、周辺国と共同対処できるルールづくりを
(3)海上における警察活動は、第一義的に海上保安庁がおこなうべき
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