日本共産党

2002年1月23日(水)「しんぶん赤旗」

アフガン復興会議

“過去のあやまちへの反省”発言も

米国は軍事行動継続を宣言


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アフガニスタン復興支援会議の閉会セッションで関係者と話すアフガン暫定行政機構のカルザイ議長(左)=22日午前、東京都内のホテル

 アフガニスタンにタリバン支配に代わる暫定行政機構が発足して一カ月、アフガニスタン復興支援国際会議は、参加各国が積極的な支援を表明して終わりました。

 「会議は大きな成功で閉幕したと報告できる」―会議終了後の共同議長による記者会見で、緒方貞子日本政府特別代表はまとめの発言の冒頭に強調しました。

 出席者の一人は、発展途上国もふくめ多くの国が「予想以上に支援策を具体的に表明した」とふりかえります。

“過去に人々を失望させた”

 パキスタンのアジズ財務相は会議で、「われわれは過去にアフガンの人々を失望させた。無視したことが否定的結果をもたらしたことはだれの目にも明らかだ。その過ちを繰り返してはならない」と発言しました。大国の思惑にほんろうされ、テロリズムの温床にされたアフガニスタンの悲劇を繰り返してはならないという思いの表明です。

 それだけに、アフガニスタンの現状をもたらした「戦争と外国の干渉」(カルザイ暫定行政機構議長)の責任は追及されてしかるべきです。

 一九七九年にアフガニスタンを侵略してかいらい政権を樹立、その後の混乱の原因をつくったのは旧ソ連でした。それに対抗するために反政府テロリストを養成しながら、そのテロ集団による同時多発テロを口実に、一方的な軍事攻撃をしかけて、無辜(むこ)のアフガン市民を苦しめたのは、今回の会議の共同議長国である米国です。

 今回の会議のキーワードは「オーナーシップ=主体性」でした。ある国の代表はこれを「アフガンの人たちを運転席に座らせる」と言い表しました。

 共同議長の最終文書は「アフガニスタン暫定行政機構は、自らが復興における第一義的な責任を有することを認識した」と記しています。自国の公務員に支払う給与すら、外国からの支援に頼らざるを得ない状況下で、主体的な国造りは困難が予想されます。その具体化はこれからです。

治安の悪化を懸念する声も

 一方、提供した資金がきちんと使われるかどうか、治安が悪化しないかどうかを懸念する声もあります。

 さらに米国の戦争は終わっていません。会見でオニール米財務長官は、「われわれはテロに対する軍事的、財政的戦争を継続する。われわれはアフガニスタンに長期にとどまる」とのべ、アフガニスタンでの軍事行動を続けることを宣言しました。

 「テロ対策」を口実にした米軍の戦争継続が、アフガニスタン国民の自助努力を阻害することは明らかです。真の復興を進める上で米国の責任も厳しく問われるべきです。(山崎伸治記者)


各国のNGOを一時排除

国際会議に汚点

役割低くみた日本政府

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アフガニスタン復興支援会議閉会セッションの会場に入ったNGOジャパン・プラットフォームの大西健丞代表(右)=22日午前、東京都内のホテル

 アフガニスタン復興支援国際会議は、大部分が閉鎖的で非政府組織(NGO)の意見・経験が反映されず、日本の二NGOが一時参加が阻まれるなど復興支援をテーマにした国際会議としては考えられないような大きな汚点を残しました。

夕方に別室でテレビ傍聴

 支援活動の第一線で活動するNGOは、政府機関にない豊かな経験を蓄積しており、こうした国際会議にはパートナーとして参加するのが国際的な常識です。ところが今回の会議ではNGOは一日目は会議場に顔を出すことすら認められず、夕方になってやっと別室でモニターテレビによる傍聴が許されるというありさまでした。意気込んでやってきた各国のNGOからは怒りの声が上がりました。

 イスラム諸国で活動しアフガニスタンでは医療支援活動をしてきたイスラミック・リリーフ・エージェンシーのアリ・ムハマド・ヌーアさん(スーダン人)は、「会議から排除され遠く離れたところに置かれたと感じました。この会議のため遠くからきたのに参加できず、とても驚きました。理由が分かりません」と、ショックを受けた様子です。日本のNGO排除についても「これは救援活動なのですから政治と混同せず、だれでも参加できるようにすべきです」と批判しました。

 八十以上の国際団体が参加するボランティア団体国際評議会(本部ジュネーブ)のアンダース・ラデカル議長は「会議に参加できず非常に不満です。NGOは過去二十年のアフガニスタン支援で主要な役割を果たしてきました。この会議で、私たちの経験を述べようと考えてきましたが不可能でした」と、会議にNGOの観点を加えられなかったことを残念がりました。

流れに逆行する会議の運営方法

 小泉首相は開幕総会で「NGOの役割を評価する」とのべましたが、国際的な流れに逆行する会議運営は、日本政府のNGOの評価の低さを示すものとなりました。

 日本のジャパン・プラットフォームが自民党の鈴木宗男議員の“圧力”で一時、参加が拒否された問題は、自民党内の「実力議員」の横車と一体となった外務省の横暴が原因です。

 鈴木議員は、ジャパン・プラットフォームの活動に政府の予算が充てられることから「税金を集めているのは自分だ。行儀の悪いNGOに税金は使わせない」(日経新聞二十二日付)などと語っています。国民の活動、努力を考慮しない自民党と政府のどうしようもない体質を国際会議の場でさらけ出すものとなりました。(西尾正哉記者)

 


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