日本共産党

2002年1月15日(火)「しんぶん赤旗」

各国紙が小泉首相の「駆け足歴訪」批判

「東南アジアに無関心」

「自衛隊昇格への欲求」


 シンガポールを除き、一国一泊の小泉首相の東南アジア五カ国「駆け足歴訪」(インドネシアのジャカルタ・ポスト紙)について、現地各紙は冷ややかに報道しています。(ハノイで北原俊文)

 まず、小泉首相の親米・タカ派姿勢が、アジア軽視、アジア無理解と裏腹であることが見抜かれています。

見捨てた印象

 マレーシアのニュー・ストレーツ・タイムズ紙七日付は「(テロ対策のための歴訪延期という)理由は立っても、ASEAN(東南アジア諸国連合)の一部の心に残った印象は、小泉には東南アジアや他のアジアにそれほど関心がないということだ」と指摘。ジャカルタ・ポスト紙十一日付も「テロ攻撃以前に、日米関係強化の政策を打ち出したことで、小泉がアジアを見捨てた印象があった」「だから、小泉の東南アジア歴訪はたぶん、日本が東南アジアから出て行くという印象をぬぐうためだ」と述べています。

 タイのネーション紙十一日付は、テロ対策での小泉首相の対米協調と軍事力志向について「日本には国の経済力にふさわしく自衛隊を昇格させようという欲求がある」、「日本政府は、その立場の変更を疑問視する自国と他国の人々と対立する危険を承知で、テロに反対して、国際社会の前に強力に目に見える形で立ち現れた」と論じています。

中国に対抗…

 歴訪を東南アジアで存在感を強める中国に対抗するものとの見方もあります。ネーション紙四日付は「日本は中国の攻勢的な動きに対応し、ASEAN諸国経済の中での自らの立場を強化しようとしている」とのバンコク在住外交官の見方を伝えました。

 ニュー・ストレーツ・タイムズ紙七日付も「成長する中国経済と、そのWTO(世界貿易機関)加盟に見られる世界経済への統合は、東南アジアにおける日本経済の指導権への挑戦になりかねない」と指摘しました。

危機感も表明

 日本経済の回復の遅れや円の急落に対する危機感も表明されています。

 ニュー・ストレーツ・タイムズ紙七日付は「貧血の日本経済は、ASEANからの輸入を吸収しうる成長の原動力を務められないだろう。援助はまだ提供できるにしても、財政制度の混乱のために、その能力も大いに縮小している」と述べています。

 小泉首相が、自由貿易協定を含む包括的経済連携協定を提唱したことについて、ネーション紙四日付は、「マレーシアは、発展の格差を心配しているので、日本との自由貿易協定という考えに強く反対している」というタイ政府高官の話を伝え、日本は「生産のほとんどが非農産物」のシンガポールとの自由貿易協定をまとめただけだと指摘しました。

 


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