安倍首相は、臨時国会の冒頭解散に打って出ました。「森友・加計疑惑隠し」をねらった前代未聞の党略的な暴挙です。
安倍首相がこんな暴挙に出たのは、国民の世論と運動に追い詰められた結果です。今度の総選挙は、追い詰められた安倍政権を退場に追い込む歴史的なチャンスです。
市民と野党の共闘を前進させ、日本共産党の躍進で、安倍政権を退場させ、新しい政治を国民の手でつくる選挙にしようではありませんか。
憲法破壊、民意無視、国政私物化の安倍暴走政治をこのまま続けさせていいのか、国民が退場の審判をくだすのか――これが総選挙の最大の争点です。
言論・報道の自由を奪う特定秘密保護法、長年の憲法解釈をひっくり返して強行した安保法制=戦争法、国民の内心を処罰する共謀罪、いずれも憲法違反の法律です。
沖縄県民の圧倒的な民意を踏みにじる辺野古の米軍基地建設、世論調査で国民の5~6割が反対する原発再稼働、まさに、民意を踏みつけにした政治の暴走です。
森友・加計疑惑とは、安倍首相夫妻の「お友達」に便宜をはかるために行政がゆがめられた疑惑です。こんな国政私物化の疑惑をそのままにはできません。
安倍政権に退場の審判をくだし、政治を国民の手に取り戻しましょう。
安保法制=戦争法の廃止と立憲主義の回復を原点に、この2年間、安倍政権と対決してきた市民と野党の共闘こそ、暴走政治を変える力です。
日本共産党は、市民と野党が確認した共通政策を実現するために、力を合わせてたたかいます。
野党3党の(左3人目から右へ)小池・共産、福山・民主、吉田・社民の各氏に政策要望する市民連合の人たち=7日、東京都千代田区
「資料はすてた」「記憶にない」を繰り返しながら「手続きは適正」と開き直る、批判する者は権力を使ってつぶそうとする、事実が明らかになると秘書や役人に責任を押しつける――こんな説明に国民が納得できないのは当然です。行政を法治国家としてまともな姿にするためにも疑惑究明は不可欠です。
特定秘密保護法、安保法制、共謀罪法はすべてが憲法違反の法律であり、すべてが「海外で戦争する国」づくりの道具立てにほかなりません。
安保法制=戦争法には、自衛隊の海外での武力行使を可能とする4つの仕組みが盛り込まれています。
官房長官や防衛相は、北朝鮮問題にからめて「安保法制を成立させて良かった」といっていますが、現実は全く反対です。
この間、安倍政権は安保法制の発動として、北朝鮮との軍事的緊張に対応した、海上自衛隊による「米艦防護」「燃料補給」を、国民には知らせないまま行なっています。
万一、米朝間で軍事衝突が起こった場合、日本が自動的に参戦し、国民が知らないところで、戦争の当事国となる危険が現実のものとなっています。
北朝鮮問題とのかかわりでも安保法制=戦争法の廃止は喫緊の課題です。
北朝鮮が核実験、弾道ミサイル発射を繰り返すことは絶対に許せません。同時に、戦争を絶対に起こしてはなりません。今、一番危険なのは、アメリカと北朝鮮の間で、偶発や誤算から軍事的衝突が起こり、それが戦争に発展して、周辺国や日本に被害が及ぶことです。北朝鮮問題の解決の唯一の道は、世界の多くの首脳も主張するように、経済制裁強化と一体に「対話による平和解決」に知恵と力をつくすことです。
ところが、安倍首相は、異常な「対話否定論」を繰り返し、アメリカによる軍事力行使を容認し、日米軍事一体化をすすめています。こうした態度こそ一番危険です。
安倍首相は「増税の一部を教育・子育てにまわす」と、国民の願いを逆手にとって、2度も延期した消費税率10%への増税を、国民に押しつけようとしています。
2014年4月に8%増税を行なうとき、政府は、影響は「一時的」といいましたが、あれから3年以上たっても、深刻な消費不況が続いています。こんなときに10%への大増税をやれば、経済もくらしもどん底に突き落とされてしまいます。
「アベノミクス」によって、富裕層や大企業は巨額の利益をあげましたが、国民のくらしは痛めつけられ、格差と貧困はますます拡大しました。
大企業や富裕層ばかりを応援する経済政策を転換し、格差と貧困をただして国民のくらしを応援する経済民主主義の改革が今こそ必要です。
日本共産党は「4つの改革」をすすめます。
株式配当や譲渡益への課税が低いために、日本では所得が1億円を超えると、逆に税負担が下がっていきます。
法人税も、大企業だけが利用する優遇税制があるために、中小企業の実質負担率は19%前後なのに、大企業は12%程度にしかなりません。
こうした税制のゆがみをあらため、「能力に応じた負担」の原則に立った改革をすすめれば、格差を是正しながら、社会保障や教育、くらしの予算のための財源を確保することができます。
大企業や富裕層優遇の仕組みをあらため、歳出改革とあわせ、17兆円を確保できます。
日本の社会保障への公的支出は、ドイツの8割、フランスの7割の水準ですが、安倍政権発足後、社会保障給付費の対GDP比は3年連続で下がっています。
日本の教育への公的支出は先進国最低レベルの状況が続いていますが、安倍政権は教育予算を5年前より600億円も削りました。
日本は「高齢者に予算が偏っている」のではなく、経済の実力に比して、高齢者にも、子育て世代にも、若者にも、国民全体に冷たい政治が続き、安倍政権がそれをさらにひどくしたのです。
日本共産党は、社会保障、教育、子育て、若者への支援などを“予算の主役”にすえる改革に踏み出します。
政府は、総選挙後の国会に、残業代ゼロ法案と、「過労死ライン」までの長時間労働にお墨付きを与える法改悪を一体化した法案を上程しようとしています。
安倍政権がすすめる「働き方改革」は、財界・大企業の利益を追求する経済政策にすぎません。
安倍政権は、実質賃金を年間10万円低下させました。その一方で、大企業の内部留保だけが増え続けています。
日本共産党は、安倍政権の雇用・労働・賃上げ政策を根本から転換し、長時間労働と過労死をなくし、まともな賃上げを実施して、「8時間働けばふつうにくらせる社会」の実現をめざします。
安倍首相は、戦後初めて、首相として、具体的な期限と条文を明確にして改憲の意思を明らかにしました。「維新」や「希望」も9条改定をとなえています。
9条に自衛隊を書きこむという首相の改憲案が実行されれば、「後からつくった法律は前の法律に優先する」という法の一般原則(後法優先の原則)により、9条2項(戦力不保持・交戦権否認)は空文化=死文化することは避けられません。
首相が憲法9条に書き込もうとしている自衛隊とは、安保法制=戦争法によって集団的自衛権の行使が可能となった自衛隊です。
海外での無制限の武力行使を可能とし、憲法違反の安保法制を合憲化する――これが安倍改憲案の正体です。
日本共産党は、北朝鮮問題など北東アジアに存在する紛争と緊張を、平和的・外交的手段によって解決する対案として、「北東アジア平和協力構想を提唱しています。東南アジア諸国連合(ASEAN)がつくっている平和の枠組みを、北東アジアにも構築しようという提案です。
日本国憲法は、9条という世界でもっともすすんだ恒久平和主義の条項をもち、30条にわたる豊かで先駆的な人権条項が盛り込まれています。変えるべきは憲法ではなく、憲法をないがしろにした政治です。
日本共産党は、現行憲法の前文を含む全条項をまもり、とくに平和的民主的条項の完全実施をめざします。
今年7月、核兵器禁止条約が加盟国の3分の2にあたる122カ国の賛成で採択されました。核兵器禁止条約は、核兵器の非人道性をきびしく告発し、その「開発、実験、生産、保有、使用、使用の威嚇」などを全面禁止し、人類史上初めて核兵器に「悪の烙印」を押す、画期的なものとなりました。ところが、日本政府は禁止条約に背を向け、署名・批准を拒否する、恥ずべき態度をとっています。アメリカの「核戦略」にしがみつき、被爆者はじめ国民多数の願いを無視する日本政府の立場が問われています。日本共産党は、日本政府に核兵器禁止条約に署名することを強く求めます。国民の力で禁止条約に署名する政府をつくることを呼びかけます。
沖縄では、名護市長選挙、県知事選挙、総選挙、参議院選挙と、繰り返し、新基地建設反対の圧倒的審判が下されています。ところが、安倍首相は、「日米同盟の強化」を前面に打ち出し、名護市辺野古の新基地建設を強権的にすすめています。「日米同盟」のためなら、沖縄県民の民意も民主主義も地方自治も踏みにじる態度です。
米海兵隊のオスプレイの墜落事故、緊急着陸、機体不備などの事態が相次いでいます。ところが、米軍は情報を隠したまま「欠陥はない」と繰り返し、日本政府は「理解」を表明しています。主権国家として恥ずべき態度です。
オスプレイはすでに北海道、横田、厚木、キャンプ富士、岩国などに飛来。自衛隊が導入を決めているオスプレイをあわせれば、日米あわせて50機のオスプレイが日本中を飛び回ることになります。
各国・地域の再生可能エネルギー電力目標 | ||
EU | 2030年 | 45% |
ドイツ | 2025年 | 40~45% |
フランス | 2030年 | 40% |
スペイン | 2020年 | 40% |
米カリフォルニア州 | 2030年 | 50% |
この2年間、日本共産党は、市民と野党の共闘を前進させるため力をつくしてきました。
民進党が、安保法制=戦争法を容認し、9条を含む憲法改定を推進する、「希望の党」と合流したことは、公党間の約束を反故にし、市民と野党の共闘に逆流を持ち込む、重大な背信行為でした。しかし、日本共産党は、市民と野党の共闘によって、日本の政治を変えていく立場を堅持してすすみます。共闘の道を、勇気をもって誠実に進もうという政党、議員、候補者の方々とは、共闘を成功させるために全力をあげる決意です。
日本共産党は、安保法制、秘密保護法、共謀罪法――違憲3立法の廃止、立憲主義の回復をはじめ、共闘の“大義の方”をかかげます。政治的立場や首長の違いを認め合いながら、一致点で力を合わせて政治を変える“共闘の旗”をかかげます。前回の総選挙で、日本共産党は8議席から21議席へと躍進させていただき、国会での発言力が飛躍的に増え、安保法制や共謀罪の国会論戦でも、森友・加計疑惑でも、安倍政権を追い詰める論戦が展開できました。今度の総選挙は、日本の命運がかかった大事な選挙です。どうか、日本共産党をのばしていただき、安倍暴走政治に退場の審判をくだし、すべての国民が個人として尊重され、尊厳をもって生きていける日本を、ごいっしょにつくりましょう。
「所得税では、所得が1億円を超えると逆に負担率が下がる」「法人税も、実質負担率が中小企業は19%前後、大企業は12%」――こうした富裕層・大企業優遇の不公平税制をあらため、「能力に応じた負担」に立って税制を改革すれば、歳出の浪費をなくすこととあわせて当面17兆円、将来的には23兆円の財源を確保できます。
「研究開発減税」などの「租税特別措置」、海外子会社から受け取った配当の一部を非課税にする「配当益金不算入制度」、グループ間の損益を相殺して税金を減らす「連結納税制度」など、大企業に恩恵が偏った優遇税制を廃止・縮減します。
安倍政権は、法人税率引き下げなどで4兆円もの企業減税を実施しましたが、内部留保を増やすだけで、賃上げにも景気回復にもつながりませんでした。バラマキ減税をやめ、中小企業を除いて、税率を安倍政権以前の水準(37%)に戻します。
株式配当は、少額を除いて分離課税を認めず、総合累進課税を義務づけます。株式譲渡所得については、当然分離課税としますが、高額部分には欧米並みの30%の税率を適用します。
所得税・住民税あわせた最高税率(50%)を、1999年改定前の65%に戻し、富裕層の課税所得3000万円超の部分には65%の税率を適用します。
高額な株式や不動産などを保有する富裕層に、純資産で5億円を超える部分に毎年低率を課税する「富裕税」を創設します(対象は1000人に1人程度)。相続税の最高税率(55%)を、中間層の負担増とならないよう基礎控除額を引き上げるなどの措置をとりつつ、2003年改定前の70%に戻します。
海外の租税回避地(タックスヘイブン)にペーパー会社を設立する手法による「税逃れ」をなくすため、海外投資に対するデータの収集・好評、タックスヘイブン税制の適用拡大などを実行します。
サラリーマンの年金保険料は月給62万円、健保・介護保険料は月給139万円で頭打ちのなっているため、年間報酬1億円を超える大企業役員などの保険料負担率は1%程度にしかなりません。こうした仕組みをあらため、高額所得者にも応分の負担を求めます。
多額の為替取引に低率で課税する「為替取引税」を創設します。税率を低くすることで、通常の貿易や金融取引には影響は出さず、短期間に多数の取引を繰り返す投機マネーに負担を課します。
現行の石油石炭税では不十分な、「地球温暖化対策の課税」を強化します。原油の国際価格高騰などの際には税率を変動できるような柔軟な仕組みを検討します。低所得者や寒冷地の負担軽減も行います。
イージス艦、オスプレイ、F35ステルス戦闘機、無人機グローバルホークなど、「海外で戦争する国」に向けた軍拡、米国軍需産業からの高額兵器の購入問題にメスを入れます。米軍への「思いやり予算」や「米軍再編経費」(あわせて年4000億円)、正面装備(年6000億円前後)や自衛隊の海外活動予算などを大幅削減します。
三大都市圏環状道路、国際コンテナ港湾、リニア新幹線など大型開発を安倍政権以前の水準に引き下げ、生活密着型の事業や、老朽箇所の改修など安全対策優先に切り替えます。農業予算も公共事業中心から価格・所得補償中心に切り替え、原発推進予算は全額削除して再生可能エネルギーなどの予算に切り替えます。
最低保障年金の実現や高等教育を含めた無償化など、社会保障・教育の抜本的改革を行なう将来の段階では、多くの国民が能力に応じて負担する必要があります。経済改革の実行で、将来、国民の所得が増えた段階で、所得税の税率に累進的な上乗せをするなど、「応能負担の原則」に立った税制改革を行ないます。
大企業と株主優先の「アベノミクス」のもと、実質賃金は低下し、実質成長率は低迷し、とくに個人消費は民主党政権時代より落ち込んでしまいました。これでは、安定した経済成長も税収増も見込めません。日本共産党は、国民の所得を増やす経済改革をすすめます。
残業時間の法制化、ブラック企業への規制強化、労働者派遣法改正など、雇用のルールをあらためます。400兆円を突破した大企業の内部留保を賃上げに活用するよう求め、最低賃金を今すぐどこでも時給1000円に引き上げ、1500円をめざします。
社会保障や教育・子育て予算を大幅に増やし、国民のくらしを立て直します。
社会保障では国保料の引き下げ、特養ホーム増設、介護職員の処遇改善など。
子育て分野では、30万人分の認可保育所増設、幼児教育・保育の無償化、保育職員の待遇改善(6000億円)など。
教育では、義務教育中の教育負担の解消、30人学級、高校授業料の完全無償化、大学授業料の半減と給付型奨学金の拡充など。
経済改革で国民の所得を増やせば、それが消費につながり、経済を安定的な成長軌道に乗せ、10年後には国・地方あわせて20兆円前後の税収増が見込めます。
税制・歳出の改革、経済成長による税収増が実現すれば、国債発行額を増やさず、減らしていくことができます。これだけで財政赤字をゼロにすることはできませんが、安定的な経済成長が続けば、対GDP比でみた債務残高を減少させることは可能です。安倍政権のように、大企業・富裕層の優遇税制に手を付けずに「財政健全化」をはかろうとすれば、結局、消費税増税や社会保障の切り捨てをすすめることになり、ますます不況になって、財政危機を悪化させます。日本共産党は、消費税大増税にストップをかけ、社会保障や教育の財源を「消費税にたよらない別の道」で確保する「二つの改革」の旗をかかげ、奮闘します。
税制改革等による財源確保の見込み額 | |
大企業優遇税制(研究開発減税などの租税特別措置・配当益金不算入制度・連結納税制度)の見直し(タックスヘイブン税制の強化を含む) | 4.0兆円 |
法人税率引下げをやめ、中小企業を除いて安倍政権以前の水準に戻す | 2.0兆円 |
株式配当の総合課税、高額の株式譲渡所得の税率引上げなど富裕層への証券課税の強化 | 1.2兆円 |
所得税・住民税の最高税率を元に戻す、富裕層の各種控除の見直しなど | 1.9兆円 |
富裕税の創設、相続税の最高税率を元に戻す | 1.1兆円 |
被用者保険(厚生年金・健康保険など)の上限引上げ | 2.2兆円 |
為替取引税・環境税など | 1.6兆円 |
大型公共事業・軍事費・原発推進など歳出の浪費をなくす | 3.0兆円 |
以上の合計(当面の財源) | 17.0兆円 |
将来的には「応能負担」の原則に立ち、所得税の税率に累進的に上乗せ | 6.0兆円 |
将来分を含めた合計 | 23.0兆円 |